タワーマンションの節税効果とは

タワーマンションは、高い節税効果が期待できるとして富裕層の間で話題になりました。それは固定資産税や相続税が低く抑えられるからで、資産が多い人がタワーマンションに興味を持つのは自然なことといえるでしょう。ただし、最近になって税制が改正されたので、タワーマンションの節税メリットは以前ほどは大きくなくなっています。


タワーマンションが節税になる理由には、税金を計算する際に土地や建物の評価が低くなることが挙げられます。税金を計算するためには、まずマンションの財産価値を評価する必要があります。マンションには建物部分とマンションが建っている土地があります。日本では土地と建物は分けて扱うので、税金を計算する際の財産価値もそれぞれ計算することになっています。土地と建物の固定資産税を計算する際には、固定資産税評価額の評価方法が用いられます。これは実勢価格の6割から7割程度の価格になるので、市場価格よりも低く評価されるのです。つまり、資産を現金で所有しているよりも価値が低いということになるので支払う税金が抑えられます。相続税の場合には、建物に関しては固定資産税評価額が用いられますが土地については路線価という評価方法が用いられます。路線価は実勢価格の7割から8割程度の価格になっており、実際の市場価値よりも低い評価になります。


それからタワーマンションには、土地の持ち分割合が非常に低いというメリットもあります。マンションというと土地を所有しているイメージはありませんが、世帯ごとにマンションが建っている土地の一部を居室に応じた分だけ所有する持ち分割合があります。タワーマンションの土地の持ち分は、それぞれの世帯の床面積に応じて平等に割り振られる仕組みです。戸建住宅に比べると多くの世帯が暮らすマンションは戸数が多いので、当然ですが世帯当たりの土地の持ち分は少なくなります。タワーマンションの場合には一般的なマンションと比較しても非常に戸数が多いので、土地の持ち分割合はとても少なくなります。つまり土地の評価額が低くなるので、支払わなければいけない固定資産税や相続税も少なくなるのです。


2018年まではそれに加えて、タワーマンションの高層階ほど建物の評価額が低くなるというメリットもありました。タワーマンションの建物部分の評価額は、広さが同じであれば一定でした。高層階であっても低層階であっても一定の評価を受けていたことになります。タワーマンションの建物部分の評価は土地と同様に、広さに応じて割り振られるからです。しかし、実際の市場価格はというと、タワーマンションの場合には高層階の方が高い価格で販売されているのが通常です。高層階の方が眺望が良かったり、プレミア感があったりするので住みたいと考える人が多いからです。資金に余裕のある富裕層ほどタワーマンションの高層階を購入することが多くありました。タワーマンションの高層階は実際の市場価格よりも税の評価額を抑えることができるので、それが節税にも繋がっているのです。


しかし税制改正があり、2018年以降に引き渡された新築のタワーマンションについては、税の評価方法が市場価格に近い形で評価されるようになっています。富裕層の優遇につながるので、是正した方が良いという声が上がったからです。高層階は以前よりも高い評価がされていますし、低層階は以前よりも低い評価がされています。それにより節税効果は従来よりも少なくなりました。
タワーマンションの節税メリットは昔よりも減りましたが、土地や建物の評価額が低くなることと土地の持ち分割合が非常に低く抑えられるというメリットは現在でも残っています。

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